HIDE YAKITORI オーナーHIDE(森川)さん
南国らしい気候と美しい海、そして日本からわずか4時間弱というアクセスの良さで、毎年100万人近くもの日本人が訪れています。中にはグ…
投資家のAYUMIさんにインタビューを行いました。
グアムを代表するビーチ「タモンビーチ」。白く美しい砂浜と、青い海。いかにも南国のリゾートという雰囲気です。そのタモンビーチと並行して、ホテルロードが通り、さまざまな有名ホテルが軒を連ねています。その一角にピンクや水色といった鮮やかなパステルカラーが印象的な建物があります。地元の方もよく訪れるアカンタ・モールというショッピングセンターですが、今回ご紹介する富田さんはこのモールで、セレクトショップを営んでいます。
-日本では営業職を-
若くして海外でショップオーナーとなった富田さんですが、意外にも日本では、営業職の普通の会社員でした。グアムへは観光で何度か訪れる程度。グアムの雰囲気が好きで、いつかはこの島に住みたい!と思っていましたが、そのまま数年が過ぎていました。転機は、30歳を目前にしたある日。日本での、毎日残業して働いて帰って、寝て、また働くという繰り返しを続けるだけの人生はどうなのかと疑問に思い、人生一回だけだ、もし万が一失敗しても、日本に帰って仕事をすればいいと思い、グアム大学へ留学することを決意します。プランがあってグアムにきたわけでなく、”何か”を変えようと突然思い立ち、憧れのグアムで生活を始めた富田さん。何度も観光で訪れている島ですが、実際生活してからもすべてが新鮮に映り、大学生活を満喫していました。そして、大学在学中にその後の生活を大きく変えるある出会いが訪れます。
-人生を変える、お店との出会い-
もともと、グアムで起業をすることなどは考えていなかった富田さん。大学在学中にバンビーノというセレクトショップに通うようになります。バンビーノは、当時すでに11年間グアムで営業をしている老舗ともいえるショップで、オーナーが日本人ということもあり、富田さんにとっては居心地のよい空間でした。しかし、富田さんはグアムでは仕事はできず、日本で貯めたお金で生活している状況。決して贅沢はできません。日本に帰国してからの車の購入費用を別に貯金していましたが、それに手を付けるようになったら日本へ帰ろうと当初から考えていましたが、そろそろ車購入費用に手を付けなければならず、帰国を考えるようになっていました。
そのタイミングで、バンビーノのオーナーから、事情により日本へ帰らなければならないから店を引き継がないかという打診を受けます。異国の地で、今まで経験したことのないビジネスに二の足を踏み、考え込むのがふつうではないでしょうか。富田さんは違いました。帰国後の車購入費用を全額投下し、事業を継承することを選択します。富田さんの場合、大学への留学もそうですが、選択から決定までが極端なスピードで進んでいきます。通常弁護士などに依頼すると$5,000程度必要になるビザの申請、ライセンスの取得などを前オーナーのサポートをうけて、専門家に頼ることなく取得することができました。
–バンビーノを引き継いで-
資金が少なくても借り入れることはせず、できる限り自分たちで困難を乗り越えてきたことが、功を奏し、売上・利益優先の経営にならなかったこともよかったのか、事業継承してから2年が経つ今、着々とファンを増やし、同業が4店舗もお店を閉める中、お店の経営は順調に伸びています 。オレンジの壁が印象的な店内には、アメリカ本土で仕入れたアバクロやHolisterなど日本でも人気のアパレルブランドや、芸能人御用達の南国らしいラニのワンピースが並び、富田さんのセンスが発揮されています。
しかし、順調に思えるビジネスですが、苦労も多いそうです。現在は主にロスアンゼルスからおこなっていますが、ビジネス英語には苦労し、違う物が届いたり、全く届かなかったりの毎日。さらに、日本の慣習との違いを痛感したのが、アカンタ・モールのオーナーとの契約更新でした。日本とは異なり、「貸してやっている」と貸主側の立場が圧倒的に上。契約を継続したくないテナントには、家賃を数千ドル単位で上乗せする。
というのもよくある話。そのオーナーとの契約交渉では二十数回に渡ってミーティングを重ね、アカンタ・モールにバンビーノがあることのメリットを根気強くプレゼンし、無事契約を更新できた時には、ホッとして全身の力が抜けてしまったそうです。
集客面では、日本の観光雑誌やメディア、芸能人の方などに商品を提供したりするほか、富田さんご自身で飛び込み営業なども行っています。やはり、小さい島で評判には敏感ですが、お店をやる前からグアムに住んでいた為、友人も多く、皆がふらっと遊びに来てくれるのが強みとなっています。そんな友人の多くは、富田さんのお話を聞いて、元気をもらって帰っていくそうです。なんとなく元気がもらえそうな気がしますね。
-グアムの生活とこれから-
グアムに住み5年になる富田さん。すっかりグアムの生活に溶け込んでいます。日本食が恋しくなるそうですが、今は日本に帰ると、人の多さに緊張してしまうほどだとか。 「今後は別業態で今の従業員と一緒に事業展開していきたいですね。常に新しい事をやっていかないとならず大変ですが、自分のために頑張るって限界があると思うんですよ。今は従業員に良い思いをさせてあげたいということが活力です。もちろんお世話になってる人たちにも恩返しもしたいです。」 とすっかり経営者が板についた富田さん。現在、富田さんは、グアムの観光スポットや自身のお店を紹介するブログを公開しています。そのブログを通じ日本から、「グアムに住みたい」「グアムでビジネスをやりたい」といった相談が頻繁にくるそうですが、憧れていても実際に行動に移せる人は、多くはないようです。ビジネスを通じ、異国の地だからこそ得られる日本人同士の助け合いの精神や、現地の人々とのつながりの重要性を強く感じたという富田さん。グアムをはじめ今後海外でビジネスを始めたい人には、ぜひ、参考にしていただきたいポイントです。