BANBINO オーナーAYUMI(富田 歩)さん
投資家のAYUMIさんにインタビューを行いました。 グアムを代表するビーチ「タモンビーチ」。白く美しい砂浜と、青い海。いかにも南国…
南国らしい気候と美しい海、そして日本からわずか4時間弱というアクセスの良さで、毎年100万人近くもの日本人が訪れています。中にはグアムに魅せられて、定住を希望する方や、ビジネスを始められる方も増加傾向です。
今回ご紹介するのはHIDE YKITORI JAPANESE RESTAURAT
オーナーのHIDEさん(森川 秀)
観光旅行で来たグアム。何気なく焼鳥屋がないと感じたのが、グアムでお店をオープンしたきっかけと話す森川さん。焼き鳥屋に目がいったのは、森川さん自身が横浜ですでに2店の焼き鳥店を営むオーナーさんだったからでしょう。アメリカ本土にもお店を出したいという考えがあった森川さんにとって、グアム出店は腕試しだったのかもしれません。グアムに決めた理由は、日本からの地理的な近さ、そして常夏の気候でした。同じアメリカでもハワイに比べて、各段に出店のハードルが低いというのが、最終的な決定打となりました。
ハワイに比べたら、出店の障壁は低いはずのグアム。しかし、それはハワイ”と”比べたらのお話し。日系企業も数多いグアムですが、森川さんは現地にパートナーや人脈もなく、右も左もわからないまさしくゼロからのスタートとなりました。まずは、物件探しですがこれは日本国内からMLSというサービスを使って、現地物件を検索しました。不動産に目星をつけて渡航した視察は3回と、念を入れて行いました。たまたま日本人の信頼できる不動産業者と知り合うことができ、店舗の契約まではスムースにいきました。物件が決まると内装工事ですが、ここでグアム洗礼の一弾めを浴びることになります。物件はスケルトンで、トイレだけがある状態。しかし、開店に至るまでの工事期間は、なんと1年間を要してしまったのです。日本であれば、長くても1か月程度の工期だったでしょう。さらには追加料金まで発生し、文化の大きな違いに驚いたそうです。しかし、現地で起業している友人などにその話をすると、その程度で収まってまだ良い方だと言われたそうです。
店舗の工事と並行して、各ライセンス、ビザの申請を行います。日本以上に、すべての物事やビジネスにライセンス(免許)が必要なアメリカ。飲食店も例にもれず、開業に必要なライセンスは多岐に渡ります。特にアルコールを扱うライセンスの取得は一般の方が申請するにはかなりハードルが高いと言えるでしょう。一部のライセンスの申請には、事業計画を添付する必要があるのですが、取締役に税理士を入れて対策をし、英語での事業計画も一人で作成されたそうです。アメリカのライセンスがいかに大変かを表す一例として、森川さんは屋外のBBQイベントへ出店されたのですが、その1日出店するだけでも事業計画から営業許可など、膨大な量の申請をしなければならないそうです。すでに営業している店舗が出店するにも関わらず、です。そして最大の難関がビザです。このビザが通らないことには、すべてが水泡に帰してしまいます。ビザ申請に際し、大使館での面談があるのですが、さすがの森川さんも緊張で震えてしまったそうですが、無事に5年のビザを取得でき、開店を迎えることができました。グアムも「焼き鳥」など日本の独自文化を広める方に対しては、ビザの発給が比較的緩いようです。
こうして、数々の困難を乗り越え、開業へこぎつけた森川さん。本場の味を提供したいと日本からわざわざ備長炭を輸入している甲斐もあって、現地に住む日本人には懐かしい味と大好評。しかし、日本人以外のローカルの方が圧倒的に人口は多いので、ローカルの方に向けたメニューの開発にも余念がありません。仕入れ方法も日本とは異なりますので、グアムのルールに合わせて商売をしています。また人件費の抑制の為、現在も店頭にたつ森川さん。本音では現地スタッフにお店を任せたいのですが、仕事に対する価値観の違いなどから、任せられるような人がいないそうで人材面での不安も生じているそうです。さらにグアムは十分なインフラが整っているように思われますが、意外にも電圧が安定せず、たびたび停電が発生します。その都度、発電機を使って補うのですが、発電機も壊れてしまったときには、その日の営業できなくなってしまったそうで、インフラの成熟した日本では考えられないカントリーリスクの一つとも言えます。しかし、それ以上に日本からお客さんに来店し、喜んでいただけたときには、グアムに出店して良かったと強く感じるそうです。日本では、仕事漬けだった森川さんですが、日本にいるときと比較し、休日が充実し、オンとオフの切り替えができるのもグアムだからなのでしょう。
もちまえの行動力と突破力で焼き鳥店を軌道に乗せた森川さん。最近では、グアムの和食レストランオーナーも来店されるようになり、日本のように同業者をライバル視するのではなく、お互い助け合う仲間として認められつつあるようです。焼き鳥店の出店は、誰に頼んでよいのかわからず、自分ですべてやってきましたが、ライセンスの申請など専門家のサポートを受ければ効率化できる部分もあったと感じたそうです。次のビジネスの時には、必要なところではそのようなサポートを受け、効率化していきたいそうです。森川さんには、アメリカ本土進出も遠い未来の話ではないでしょう。
まったく違う国では日本のルールで進めようと思っても、思い通りには絶対になりません。だけど、ネガティブなことばかり言ってても何も始まらないので、やるぞという気持ちを強くもち、スタートラインに立つことが重要だと森川さんは話します。まさに「成せば、なる」ですね。